教材が売ってないマイナーな言葉(言語)を覚える方法

読者の方からなかなか鋭い質問を受けたのでご紹介します。今回のテーマは「教材がほとんど売っていないポルトガルのポルトガル語を覚えるにはどうすればいいのか」です。

ポルトガル語だけに限らず、全てのマイナーな語学にいえることなのでぜひ読んでおいてください。では一体どんな質問なのかさっそく見ていきましょう。

質問は以下の通りです。

はじめまして
ポルトガルポルトガル語の発音の美しさに魅せられ、ポルトガル式ポルトガル語を学びたいのですが、日本国内で出版されているのはブラジル式ポルトガル語の教材ばかりのようです。ブラジルポルトガル語の教材でもポルトガル式ポルトガル語は身につきますか?

先日、書店で学習書を下見したのですが、同学社『生きたブラジルポルトガル語初級』と、東洋書店『初級ブラジルポルトガル語』という入門書がそこそこ良さそうに見えました。ポルトガル式ポルトガル語を学びたい日本人学習者はどのような学習書を使用していますか?

因みに大学書林『新版ポルトガル語四週間』を下見したのですが、ポルトガル式とブラジル式の比較を解説しているとはいえ、書き言葉中心で、そして体系的な教え方ではなく、簡単な即席文法辞典のような作りでした。おそらく著者は体系的に教える能力が無いからなのでしょう。

ブラジル人任せにしているポルトガル語学界はどんな状態なのでしょうか? ポルトガル人は日本人がポルトガル語を学習したりポルトガル語に興味を抱いてもらう努力或いはその気すら無いのでしょうか?

質問の答え

ブラジルポルトガル語の教材でもポルトガル式ポルトガル語は身につきますか?

教材によると思います。でもブラジルのポルトガル語はポルトガル語のポルトガル語とかなり違うものだと思ったほうがいいかもしれません。それを言ったらアフリカのポルトガル語だってかなり違います。

参考記事

3分で分かるブラジル・ポルトガル語とポルトガル・ポルトガル語の違い

アフリカのポルトガル語圏  ブラジルとの言葉の違いは?

ただ、ブラジル人も学校の「ポルトガル語」の授業では一応ポルトガルのポルトガル語を覚えるはずですよ。活用もポルトガル風に「tu」や「vós」を習いますし。そういう意味では違いがあれど、切っても切れない関係なんですが。

ポルトガル式ポルトガル語を学びたい日本人学習者はどのような学習書を使用していますか?

実際に日本人の方がどんな教材を使っているかは分かりません。ただ、おっしゃる通り、あまり市場には出回ってなさそうですね。それはそもそもの需要がないからでしょう。

ブラジルと日本のほうがつながりが深いし、ポルトガルよりブラジルのほうがはるかに人口も多いです。経済的にもブラジルのほうが注目を集めているということも関係がありそうです。

これなんかいかがでしょうか。

ブラジル人任せにしているポルトガル語学界はどんな状態なのでしょうか? ポルトガル人は日本人がポルトガル語を学習したりポルトガル語に興味を抱いてもらう努力或いはその気すら無いのでしょうか?

さて、この質問に対してはちょっと勘違いしているようなので指摘させていただきます。まず一つに日本に参考書がない=その国の言語の学問、教育が遅れている、あるいは手を抜いているということではありません。

本はあくまでも出版社のビジネスなので売れなければ作る意味がないというだけです。本屋にブラジル・ポルトガル語の本ばかりが並ぶのはブラジル・ポルトガル語に興味を持っている日本人のほうが圧倒的に多いというだけで、ブラジル人がポルトガル人より頑張って語学を普及させているという意味ではありません。

これだけ日本にブラジル・ポルトガル語の教材があるにも関わらず、ブラジルに来たらびっくりすると思いますが、ほとんどブラジルでは外国人向けの語学学校がありません。

あっても英語学校や他の語学学校のおまけ程度にあるだけです。「ブラジルにあるポルトガル語学校はどこがおすすめ?」でも紹介しましたが、大学がやっている外国人向けコースもブラジル全国で数えるほどしかありません。

これも考えようによっては、「ブラジル人はポルトガル語に興味を抱いてもらう努力或いはその気すら無い」と取れるかもしれません。

しかし現状は生徒がいないから儲けが出ないし、運営ができないのです。英語やスペイン語ならそれこそ世界中に腐るほど学校があるでしょう。でも ポルトガル語ってそもそもマイナーなんです。

マイナーな語学は確かに需要の低さからいい教材も少ないし、いい教師も育ちにくいという環境苦があります。しかしどの分野にも普及に努めて自分の生涯を捧げている教育者は必ず存在します。

質問者の方はまだそういう人に出会っていないだけで、これから出会うチャンスはいくらでもあるので決して諦めないで欲しいです。

ポルトガル語(マイナーな言葉)を覚えるためにやるべき3つのこと

1、ポルトガル(現地)人と結婚する

半分冗談ですが、半分本気です。結婚までとは言わなくても恋人を作るなり、友達を作るなりすれば言葉は自然と覚えます。もしポルトガル人と知り合う機会がない、などと言い訳をする人はちゃんと探していないだけです。日本中探せばぜったいにいます。そういう人を探して友達になって教えてもらう、というのはとても大変な面倒なことですが、そもそもそれぐらいの行動力がない人はマイナーな言葉なんて覚えられないでしょう。

2、ポルトガル(現地)に行く

日本でポルトガル人と接する機会がないなら、ポルトガルに行ってしまいましょう。どんな語学も現地に行って勉強するのが一番です。「私がポルトガル語を覚えるためにやった6つのこと」でも話しましたが、どれだけ大学の授業で勉強しても、どれだけ本を読んでも覚えられることなんてたかが知れています。それより現地で思い切り、その国の言葉に漬かれば、みるみるうちに上達するはずです。

3、独学で勉強する

「この教材って本当に役立つの?」、「あの学校っていい学校なの?」などと言うタイプはいつまで経っても外国語を覚えません。なぜならそういうタイプはあたかも教材のおかげ、学校のおかげで言葉が話せるようになると思っているからです。

語学は基本自分で覚えるものです。大昔の人たちは辞書すらない中で、外国人たちと交流したわけです。それに比べたら、今の時代ネットもあるし、本もあるし、学校もあるし、世界中どこにでも行き来できる。そんな恵まれた環境の中で覚えられないのはほかでもないあなたの責任です。

自分で分からないことを調べて、自分で勉強することが嫌いな人はどんなにいい教材を買おうとも途中で諦めていくでしょう。そしてまたこう言うはずです。

「勉強したいんだけど、いい教材がなくてさ」。

もし質問者さんがポルトガル語の教材がないことに腹を立てたのなら、むしろその怒りを自分の勉強にぶつけてもらいたいです。そして将来、自分がいい教材を作ってやるぐらいの意気込みを見せてもらいたいです。

私がこのサイトを立ち上げたのも他に自分の疑問を解消してくれるポルトガル語のサイトがなかったからです。そしてなによりもっと自分で勉強したかったからです。

Q&A

  1. moranguinho より:

    私が初めてポルトガル語を学んだのは、ポルトガル文化センターのポルトガル語通信講座でした。ポルトガルのポルトガル語を基本に、ポルトガル人の先生の添削と録音で習いました。実際に交流があったのはブラジル人でしたが、当時ポルトガル語教材が少なく、学ぶ手段が限られていましたので。20年近く前なので今でもあるかわかりませんが。

タイトルとURLをコピーしました