一言で消費者をひきつけるキャッチフレーズ。その中にはおおよそいくつかの意味が隠され、皮肉やユーモアが込められているのが一般的です。ぷすっと笑ってしまうもの、思わず頷いてしまうもの、そんなポルトガル語のキャッチフレーズをまとめてみました。
外国語のキャッチフレーズというのは翻訳するのが大変難しいものが多く、翻訳してしまうことで本来の意味が失われてしまうことも多々あります。その変に注意しながら解説していきたいと思います。
ポルトガル語のキャッチコピー
1、航空会社TAM
Não é só no futebol que é bom dar um passeio na Argentina.
この文章は翻訳してしまうと、意味が失われてしまういい例です。「dar um passeio」には「散歩する」という意味と、サッカーやスポーツなどで「相手に楽に勝つ」、「圧勝する」といった意味があることを知らなければなりません。
直訳すると、「アルゼンチンで散歩して楽しいのはサッカーだけじゃない」となりますが、本当の意味は「(ブラジルが)アルゼンチンとサッカーの試合をしても(簡単に勝てるから)楽しいし、アルゼンチンを散歩(旅行)しても楽しい」となります。
アルゼンチン旅行を勧めている一方でアルゼンチンをこき下ろしているところがブラジルに根付くアルゼンチンに対するライバル心をくすぐるユーモアのあるキャッチフレーズとなっています。
2、ハワイアナス
Cartão-Postal. O único presente que é melhor mandar do que receber. ポストカード、もらうよりあげるほうがましな唯一のプレゼント。
サンダルメーカーのハワイアナスはサンダルのデザインにビーチリゾートの名前や建物の画像を使用。そのときにプリントを「ポストカード」と表現してこのフレーズを使いました。
上の画像は小さいですが、よく見ると、観光地の写真の上にサンダルが重ねてあるのが分かります。
3、雑誌POOL
As mulheres não consomem só os maridos. 女性が消費するのは夫だけじゃない。
雑誌が購読者を募るときにこんなフレーズを使うなんて変わってますね。
4、ベッドメーカーOrtobom
Duas razões prováveis para uma noite mal dormida: um colchão muito ruim ou uma mulher muito boa.
眠れない夜の2つの原因;最悪のマットレス、あるいは最高の女性
ベッドを売るのにこんなフレーズで勝負するなんて日本じゃありえないですね。
5、日本食レストランMadame Butterfly
Apressado come cru, pra dar tempo de repetir.
この文章にも解説が必要です。「Apressado come cru (急ぐ者は生で食べることになる)」はブラジルのことわざで「急がば回れ」に相当します。
ブラジルではもともと食べ物を生で食べる習慣がないため、このことわざには「生で食べる」ことがマイナスの意味で使われています。しかしこのキャッチフレーズはそれを逆手にとって、「急ぐ者は生で食べる、(寿司は美味しいから)おかわりするためにね」としているのです。
6、自動車メーカー、プジョー
Segurança, conforto, estabilidade. Tudo que uma mulher procura em um homem e um homem procura em um carro.
安全性、心地よさ、安定感。女が男に求める全てを男は車に求める。
自動車を女性、あるいは男性に擬人化して表現することはよくあります。
7、スポーツジム、Cia.Athlética
O que engorda mesmo não é o que você come entre o Natal e o Ano Novo, mas o que você come entre o Ano Novo e o Natal.
あなたを太らすのは、クリスマスと新年の間に食べるものではなく、新年とクリスマスの間に食べるものだ。
ぱっと読むと意味が分からないと思いますが、よく見るとぷぷっと笑えるフレーズです。解説すると、「12月25日から1月1日のパーティーが続く「時期に食べるものが原因で一気に体重が増えるのではなく、新年から12月25日までの約1年間で食べるものが原因だ」ということです。
つまりあなたが太るのはある時期に急に食べるのが原因ではなく、普段の生活スタイルがいけないのですよ、という意味です。
8、石油会社Petrobras
Surfar é como voltar a ser criança. Você tem até que aprender a ficar em pé de novo. サーフィンをするのは子供に戻るようなものだ。再び立つことを覚えないといけないから。
石油会社ですが、サーフィン業界のスポンサーをしていることから、このキャンペーンが生まれました。
9、ジュエリーショップ、Bergerson
Se flores fossem melhores do que jóias, a noiva jogava a aliança e não o buquê. もし花が宝石より価値があるんだったら、新婦はブーケじゃなくて宝石を投げているはず。
ロマンチックな人は花は宝石より美しいなんてことを言ったりしますが、それに対抗したフレーズです。
10、葬儀屋
Nossos clientes nunca voltaram para reclamar. 当社のお客様は今だかつて一度もクレームを言いに戻ってきたことはありません。
自分の会社のサービスの質が高いという意味と、お客様が故人であるということをかけているユーモアのあるキャッチフレーズです。
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