読者の方から質問を受けましたのでそれにお答えしようと思います。今回の質問者の方は、現在ブラジルに滞在中の日本人の方でポルトガル語を勉強中だそうです。最近、質問するのはブラジル人の方が多かったのですが、久しぶりに日本人の方が質問してくださいました。
質問は以下の通りです。
はじめして。
こちらのサイト、よく参考にしています。
ありがとうございます。現在サンパウロに住んでいます。
ブラジルに来てからは10ヶ月が経ちました。
目下、鋭意ポルトガル語を勉強中です。「食べちゃった」「(呼ばれていないけど)来ちゃった」
「(何かの拍子に)服が破けちゃった」
「見てはいけないものを見ちゃった」
のように、(〜しちゃった)と自分が意図していなかったが結果的にはそうなってしまった。のように相手に話したいときはどのようにポルトガル語で表現するのでしょうか? ご教示いただけると、自分が伝えたい表現が1つ増えて嬉しいです。
日本語でよく使われる「~しちゃった」という表現をポルトガル語ではどういったらいいのか、という質問です。ではさっそく例と一緒に見ていきましょう。
ポルトガル語で「~しちゃった」の表現方法
1、見たくないものを見ちゃった
Ontem eu vi meu avô nu sem querer. 昨日、お爺ちゃんの裸を見ちゃったよ。
望んでもないのに、なにかをしたときによく使われるのが、「sem querer」という言い回しです。
2、呼ばれていないけど、行っちゃった。
Vanessa foi à festa de aniversário do João sem ser convidada. ヴァネッサは招待されてもいないのに、ジョアンの誕生会に行っちゃったんだ。
「来ちゃった」の場合でも同じですが、「招待されていないのに」を強調する場合は、sem ser convidadoという表現がいいと思います。
3、破れちゃった
Que pena. minha calça rasgou. あら嫌だわ。ズボンが破れちゃったわ。
この場合は特に何もつける必要はありません。では普通の「破れた」と「破れちゃった」はどう違うのかといえば、それはそもそも日本的思考で考えたニュアンスの問題なのです。
「破れちゃった」などの表現をするときに注意しなくてはいけないのは、1、2とは主語が異なるということです。1、2の例では主語が「私」、「彼女」など人だったのに対して、破れちゃったなどの場合は、破れた物が主語になります。これは1、2の例が「してしまった」と誰かの行為が発端になっているからです。
人の行為を指しているときと自然にそうなったときでは主語が変わってきます。
Eu quebrei o copo da minha mãe sem querer. お母さんのコップを割っちゃったよ。
O copo da minha mãe quebrou. お母さんのコップが割れちゃったよ。
4、食べちゃった
Desculpa. Eu comi seu chocolate. Não sabia que era seu. ごめんなさい。あなたのチョコレートを食べちゃったの。あなたのって知らなくて。
この場合も特に何かを付ける必要はありません。そもそも自分から食べたわけなので、食べる行為を意図していないはずはなく「sem querer」というのも不自然です。もしあなたのと知らずに食べてしまった、と言いたいのではあれば、「Não sabia que era seu」と付け足せばいいでしょう。
外国語を勉強し始めたときにまずぶつかる壁が「壊しちゃった」と「壊れちゃった」のように細かい日本語の違いにまず自分が気付かないことです。
また、全ての日本語の表現やニュアンスを外国語に取り入れようとして、無理やり訳そうとすることです。そんな状況を脱出するには、日本語からポルトガル語にするという習慣をまずやめて、ポルトガル語の表現を日本語のように使うという習慣に変えていくのがいいでしょう。
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