ポルトガル語を勉強したいけど、なにから始めたらいいか分からないという人も多いはず。そこで2002年から約20年ブラジルに住んでいる管理人が実際にやってきた勉強法をステップごとに紹介します。
ポルトガル語を覚えるためのステップ1 数字、単語を覚える
ポルトガル語を話したいといっても、そもそもなにも知らなければ話すことは不可能です。そこでまずは数字や簡単な単語を暗記することをおすすめします。
語彙量が多ければ多いほど、幅広い会話ができるようになるのはいうまでもありません。語学におけるボキャブラリーとはいわば、料理で言うところの材料に近いです。
冷蔵庫にカレーライスの材料しかなければカレーか、それに近いものしか作ることはできませんが、そこにもし中華、フレンチ、イタリアンの具材も加わったら、選択肢は増え、バラエティーに富んだ料理が楽しめるようになりますよね。
それと同じでボキャブラリーがなければ会話は生まれないし、どれだけあっても損はしません。
単語、数字はこちらのカテゴリーから勉強してみてください。
ポルトガル語を覚えるためのステップ2 動詞の活用を覚える
さて数字、単語をある程度頭に入れたら、次は動詞の活用を身につけましょう。これがポルトガル語を覚えるうえでの最初の難関といっても過言ではないです。
動詞の活用を覚えるとはar動詞、ir動詞、er動詞の法則をとりあえず頭に入れるだけじゃありません。
動詞の現在、過去、未来のあらゆる活用を瞬時に言える、あるいは変換できるようになってこそ、初めて動詞の活用を覚えたといえるでしょう。
逆に頭で知っていても会話の中でいざ言おうとしたときに出て来なければそれは知らないのと同じです。
「動詞”comer”はer動詞だから、三人称現在の語尾はどうなるんだっけ」みたいな感じで何秒も考えてしまうのであれば単純に練習不足ですね。
とはいえ、最初から現在、過去、未来の全ての活用をマスターするのは大変なので、まずはせめて現在形だけでもスラスラいえるようになりましょう。それだけでも初歩的な会話ができるようになります。
一番簡単な練習方法は、主語と動詞をセットで「Eu sou, você é, ele/ela é, nós somos」などと繰り返し、音読することです。これだけで大分脳にインプットできます。
野球選手がボールが飛んできたところに何も考えずにバットを振れるのは、それだけ普段から素振りをしているからです。ポルトガル語の動詞の活用を使いこなすのも要するに反射神経のようなものなので、普段から練習さえしておけば、いずれ脳が勝手に変換してくれるようになりますよ。
ちなみにポルトガル語でよく使われる動詞100個はこちらです。とりあえずこれだけで基本はなんとかなります。
ポルトガル語を覚えるためのステップ3 フレーズを丸暗記する
単語、動詞が上達してきたら、次はフレーズ(文章)に入ります。このとき一番やっちゃいけないのが文章を主語、述語、あるいは名詞、形容詞、副詞、動詞などの要素に分けて分解して理解しようすることです。
フレーズはネイティブスピーカーが言っているのを丸ごと暗記するべきです。とりあえず最初のうちはフレーズ全体の意味やニュアンスが分かっていればOKです。
なぜなら最初から理論的に全てを理解しようとすると、ポルトガル語はあまりにも複雑で、沼にはまっては前に進めなくなるからです。なにより楽しくないから続きません。
例えば「あなたの名前はなんですか?」という、最も初歩的なフレーズを覚えるとしましょう。
Qual é o seu nome? (クアウ・エ・オ・セウ・ノーミ)
これをいちいち、qual=疑問詞のどれ、é=動詞ser三人称単数現在、o=冠詞男性、seu=人称代名詞所有格、nome=名前、などと一つ一つ要素ごとに覚えようとすると、時間が余計にかかります。
そしてそういう覚え方をする人に限って、「あなたの名前はなんですか?」なのに、どうして「que なに」ではなく、「qual どれ」という単語を使うんですか?みたいな疑問を抱き始めるのです。
もし自分がそういう思考回路になっていたらかなり危険なので早めに直しましょう。理論から入ろうとすると、どうしてもこのように日本語で考える癖がついてしまい、ポルトガル語を日本語にあてはめようとしてしまいがちです。
そうならないためにも、まずはすんなりポルトガル語文化を受け入れるのが大事です。
「あなたの名前はなんですか?」というときには、とりあえず「Qual é o seu nome? (クアウ・エ・オ・セウ・ノーミ)」って言えばいいんだ、というふうに素直にフレーズごと丸暗記してしまいましょう。
ポルトガル語のフレーズはこちらでまとめてあるので参考にしてみてください。
ポルトガル語を覚えるためのステップ4 文法をポイントだけ抑える
様々なフレーズを覚えたら、知識の肉付けとして文法を勉強しましょう。その際に大事なのはポイントだけを抑えることです。
例えば自分の課題が動詞の時制にあるなら、まずはそれを集中して覚えましょう。話していていつもどの前置詞を使っていいのか分からないのなら前置詞を徹底的にたたき込みましょう。
文法はこちらにまとめてあります。
人によっては文法書などを最初から最後まで片っ端から勉強していく、といったやり方をする人もいますが、それは無駄が多いので絶対にやめましょう。
なぜなら文法の中には実際に会話では使われないことも多々あるからです。例えばわざわざ人称代名詞の「tu」や「vós」を覚えるのもその一つですね。
ブラジル人は必ずしも文法通りには話しません。むしろ文法的に正しいポルトガル語を話す人のほうが少数派です。
なのでもし会話を覚えるのが目的なら、文法をベースにするのではなく、あくまでも会話ベースで勉強しましょう。フレーズを先に覚えるべきだ、というのはそういう理由もあるのです。
ポルトガル語を覚えるためのステップ5 発音を覚える
続いてやるべきことは発音のレベルを上げることです。カタカナのような発音では相手には当然通じません。発音を伸ばすには独学の場合、音楽、映画、ドラマ、ユーチューブなどを見て吸収するのがいいでしょう。
おすすめの映画、ドラマ、音楽はこちらを参照してください。
理想は実際にオンライン、あるいはリアルな場でブラジル人と話すことです。そうして、ポルトガル語の音をよく聞き、自分で再現していく練習をしていきましょう。
しかし大前提として、正しいスペルを知らなければ意味がありません。ときどき、ブラジル人の喋り方を真似すればいいと思って、読み書きをおろそかにする人がいますが、それは大きな間違いないです。
なぜなら正しいスペルを知っていなければ正しい発音はできないからです。大事なのでもう一度言います。
正しいスペルを知らなければ正しい発音はできません。
例えばなんとなく耳でコピーしただけでは、次のような似た音が続いたときに正しく発音できなくなるんじゃないでしょうか。
「Ela era louca e tinha voz rouca. 彼女はクレイジーだった。それにハスキーな声をしていた」
「l」と「r」の違い、「b」と「v」の違いなど、日本人にとっては音だけでは区別がつきにくいです。それでもスペルがちゃんと分かっていれば理解度も発音の精度も上がるので、読み書きもしっかりやりましょう。
ポルトガル語を覚えるためのステップ6 分からなかったその都度分かる人に聞く
語学を勉強していてやりがちなこと、それは分からないことが出てきてもそれを放置してしまうことです。分からない単語があるのに辞書で調べない。疑問があるのに答えを探さない。ポルトガル語の先生がいるのに質問しない、などがそれにあたります。
分からないことがある、というのはある意味チャンスで、それが分かるようになれば必ずステップアップするのです。語学の勉強というのはその積み重ねに過ぎないです。
一つ注意したいのは、ブラジル人だからといってみんながみんなポルトガル語についてちゃんと説明できるわけではない、ということです。
ちなみに過去に何度もブラジル人の読者がポル語るドットコムで、ポルトガル語について質問してきたことがあります。中にはポルトガル語の先生もいましたが、ブラジル人はブラジル人で文化の違いからポルトガル語について日本人に説明するのはとても苦労するのです。
また、一般的なブラジル人はポルトガル語を話せても、理解力、あるいは説明力が低い人も少なくないです。
なのでポルトガル語について聞くにしてもちゃんとした先生に聞くようにしましょう。じゃないと長い間勘違いして覚えていた、なんてことにもなりかねないです。
ポルトガル語を覚えるためのステップ7 覚えたことをアウトプットする
ステップ1から5まではインプットのことが大半でしたが、覚えたことをアウトプットしていくことはインプットすることと同じくらい、あるいはそれ以上に大事です。
アウトプットのやり方はそれぞれです。理想は実際にブラジル人と話すことでしょう。もし環境や状況的にそれができないのであればブログやSNSを使って自分が勉強したことを日々忘備録的にアップしていくのも役立ちます。
もし人に見せるのが恥ずかしい人は非公開にして自分用に保存しておくことだってできます。いずれにしても覚えたことをそのままにしないで、吐き出していくことを日々意識しましょう。
まとめ
手順は分かったけど、実際何をどう勉強すればいいか迷ってしまってなかなか手が進まない、という人もいるんじゃないでしょうか。
あるいはできるだけ無駄を省いて最短、最速でポルトガル語会話における重要なポイントを抑えたい人もいるでしょう。
そんな人たちのために作った講座が同サイトのオリジナル動画講座「ポル語る講座」です。
「ポル語る講座」はブラジルのトップ大学(USP)教師の監修の下、実際に使われる会話にフォーカスし、約3か月で生きたポルトガル語会話の基礎を身に着けてもらうことを目的としています。
さらに質問し放題という万全のサポート付きなので、いわばここで解説した手順の全てが詰まった講座になっています。
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